三井物産パッケージング株式会社三井物産パッケージング株式会社

アップサイクル2024.02.22

大量排出するコーヒー豆用麻袋
製品パッケージへのアップサイクルに挑戦

キーコーヒー株式会社様

コーヒー豆を運搬する際に用いられる麻袋。重量のあるコーヒー豆に耐えられるよう頑丈な素材である一方、アップサイクルにはまだ難しいという課題も。コーヒー製品メーカー国内大手であるキーコーヒー株式会社では、長年麻袋の有効活用に苦心してきました。今回は麻袋をコーヒーパッケージにアップサイクルする世界初の試みに挑戦した経緯を、担当の上野圭亮さんに伺いました。



ただ廃棄されるのをなんとかしたい 麻袋の有効活用に苦心

キーコーヒー アップサイクル

上野:弊社はコーヒーの製造と販売に加え、インドネシアでコーヒー農園を経営するコーヒーの総合企業です。私は部や工場の統括、製造原価の管理、資材の購買などを担当しており、以前から工場で排出される廃棄物を減らしたいと考えていました。 特にコーヒー豆を輸入するときに用いられる麻袋は悩みの種。当社では年間約5万トンのコーヒー豆を輸入していますが、そのための麻袋は約80万袋、約400トンもの量になります。もちろん以前から有効活用していました。例えば、養蜂場において巣箱の保温などに利用されたり、カキの養殖場では、稚貝を付着させる採苗器としても活用されています。名古屋の観光農園では植木に麻袋を敷き、雑草を抑制するための根巻きとして活用されています。麻袋はそのまま土に還るので、後処理もなく重宝されているようです。さらに試験的に名札入れやランチョンマットなども制作したこともありますが、あくまで単発の取り組みにとどまっており、商業ベースに乗るような継続的なアップサイクルをするには、自社だけでは厳しいと考えていました。

三井物産パッケージング 新川:コーヒー商品を扱う企業様では、麻袋のほかに生産工程で発生するコーヒー抽出残渣やシルバースキン(コーヒー豆種子の薄皮)を課題とされているケースが多いと聞きます。再利用のためになんとか工夫している事例もありますが、どうしても数量が限られ、根本的な解決につながっていないのが現状です。しかし麻袋の国内流通量は推定600万袋とされており、500g/麻袋とした場合、重量は年間で3,000mtにも上ります。もし麻袋をうまくアップサイクルするスキームができれば、結構なインパクトになります。弊社のネットワークを活用していただくことで、うまく循環するモデルができるのではないかと考えました。



麻袋をコーヒーパッケージへ
あるべき循環を目指して

上野:麻袋のアップサイクルとして、バッグをイメージする方も多いと思います。しかし、コーヒー豆運搬用の麻袋はみなさんのイメージとはだいぶ違うものなんです。ざっくりと粗い素材で、衣料品などには向いていないチクチクとした肌触り。そのため、なかなかわかりやすい形での活用法が見つからなかったのです。麻袋の有効活用に頭を悩ませていたときに、三井物産パッケージさんにお声をかけていただきました。

三井物産パッケージング 新川:もともと、弊社が段ボールのリサイクルのご提案でお話を伺っているときに、麻袋の話が出たんですね。これまでは有償でリサイクルを委託していたとのことでしたが、もっとその先を見える化し、本当の循環を目指したいとのご要望でした。そこで、「麻袋アップサイクル循環モデル」をご提案しました。

三井物産パッケージング 新川:このモデルはキーコーヒー様より使用済みの麻袋を回収、麻袋をクラフト紙の原料にし、キーコーヒー様の製品のパッケージにアップサイクルするというモデルです。

上野:これまで使用済みの麻袋はリサイクル業者に委託してはいたものの、自社で行っているわけではないため、実際どのようにリサイクルされているのかは見ることができませんでした。しかしご提案いただいたモデルは製品パッケージへのアップサイクルなので、お客様の手に取って見ていただくこともできます。さらに再資源化の素材で作っていることが伝われば、意識の高いお客様にも選んでいただけるかもしれません。

三井物産パッケージング 新川:製紙業界の観点からもメリットがあります。近年の製紙原料の価格高騰からフレッシュパルプや古紙等がひっ迫しているため、この状況を打破するためにも非木材の原料として麻袋に期待できると考えました。

上野:プロジェクトをスタートしたのが2021年7月で、約1年半かけて製品化までこぎつけました。基本的には 新川さんが全てコーディネートしてくださったので、安心してお任せしていましたが、やってみたら予想以上に課題が多くて…。そもそも回収は自社で行う予定でしたが難しく、回収のところからお願いすることになりましたね。

三井物産パッケージング 新川:そうですね、回収も含めたスキームを設計させていただきました。回収業者さんには回収だけでなく、かさばる麻袋を圧縮してもらい、製紙工場へと配送してもらうようにしました。それから今回はしっかり資材として活用したいとのご要望でしたので、紙に麻袋を一部混ぜるのではなく、麻袋をパルプ化して一度原料に戻すという方法を採用することにしました。まずはそれができる会社を探す必要がありました。

上野:麻を原料とする製造技術の知見があるということで、王子エフテックスさんをご紹介いただきました。北海道の江別に工場があるということだったので、運搬中に排出するCO2の増加が心配でしたが、王子エフテックさんの通常運行している船便に追加で乗せていただくことで、それもクリアできました。

三井物産パッケージング 新川:王子エフテックス株式会社さんの江別工場には「地球釜」があり、そこで麻パルプを製造しています。過去にタオルメーカーと共同で、タオル製造工程で発生する繊維や端切れ等を紙原料として配合した「MEGURISH(綿)」という製品を開発していますので、ここでなら麻袋の原料化も可能ではないかと思いました。今回の麻袋を原料とした製品は「MEGURISH(麻)」という製品名になりました。



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キーコーヒー社・王子エフテックス社と進めるコーヒー豆用麻袋の資源循環の取組み​ 

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