食品の卸売業大手であり、自社ブランド商品の開発・販売も行っている加藤産業株式会社は、かねてよりサステナビリティへの取り組みを推進してきました。これまでの取り組みをさらに高めるために、ダンボールのクローズドリサイクルに挑戦しています。これまでの経緯とこれからのビジョンについて、CSR推進部の安井弘人さんにお話を伺いました。
目次
再資源化していたダンボール
自社起点での循環めざす
安井:我々は加工食品の卸売りを柱とし、一部自社ブランドの商品を開発し販売しています。全国のスーパーや小売店などに食品を納品しているので、商品を梱包するダンボールが大量に排出されます。ダンボールというのは古紙から作られますので、弊社の物流センターから排出されるものは100%再資源化していたのですが、回収を委託しているため、その先にどのように活用されているかは確認できてはいませんでした。そのため、三井物産パッケージング様から、排出したダンボールを自社製品を梱包するダンボールへリサイクルするという「クローズドリサイクル」のご提案をいただき、これこそ真の意味での循環モデルだと思いました。
ダンボールのクローズドリサイクル
三井物産パッケージング 山本:もともと加藤産業様とはダンボールケースのお取引きでお付き合いさせていただいていましたので、今回のスキームをご提案しました。
サステナビリティへの取り組みに熱心であるのは存じていたので、このスキームにぴったりではないかと考えました。
安井:ダンボールの再資源化は15年ほど前から継続していたので、さらにレベルアップできる取り組みだなと思いましたね。弊社はサステナビリティの取り組みのひとつとして資源循環も掲げており、社長自らサステナビリティ委員会の委員長を担っていますので、今回の取り組みにも強い後押しがありました。
産業廃棄物からリサイクル資源へ
ごみを出さない仕組み作り
安井:一方で、自社で使用したダンボールがまたダンボールとして自社に戻ってくるというのは、言葉で言うほど簡単なことではありません。コストの面でのハードルもありました。
三井物産パッケージング 山本:このスキームをつくるには、ダンボールの回収業者、原料化する製紙メーカー、ダンボールを作る加工メーカーをつなぐことが必要でした。まずは排出したダンボールの量を拠点ごとに計測し、トレースできるよう協力いただく必要があります。
安井:それまで基本的にはダンボールを資源として買い取ってもらう拠点が多かったのですが、一部では産業廃棄物として有償で引き取り依頼をしていたところもありました。そこで回収業者さんに交渉し、資源として買い取ってもらうこと、そして計測できるように計量器付きパッカー車を入れてもらうことに。さらに、古紙とともに回収依頼していた梱包資材のストレッチフィルムも産業廃棄物として排出していましたが、プラスチックなのでこちらも資源として買い取りが可能になりました。プラスアルファのメリットでしたね。
三井物産パッケージング 山本:これにより、産業廃棄物の処理費用が収入に変わったので、コスト面での改善となりました。また、加藤産業様はダンボールの排出量が非常に多いため、スケールメリットが出しやすいという面もあります。
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※ 山本は2025年1月現在、協力会社に出向中